運動の表し方

目次

  1. 速さと速度 ← 今ココ
  2. 加速度
  3. いろいろな運動

速さと速度

速さと速度の違い

速さは、物体が単位時間当たりに移動する距離のことです。 時間 t の間に物体が一直線上を距離 x だけ進む時の速さ v は、
速さを求める公式
と表されます。

しかし、物体の運動を表すには速さだけでは不十分です。運動の「向き」も表す必要があります。
そこで、速さと向きを一緒に考えたものが速度です。 速度は、大きさ(速さ)と向きを持っています。このような量をベクトルといいます。 一方、速さのような大きさだけを表す量をスカラーといいます。

速度の合成

船で川を渡ることを考えます。
船で川を渡る時、船は水に流される
上の図のように、船は川に対して垂直に 速度v1 で渡ろうとしますが、川の水流(速度v2)に流されて、実際は斜めに進みます。
この時の船の実際の速度 vv1v2合成速度です。

合成速度vを求めるには、v1v2を隣り合う辺とする平行四辺形を描き、 その対角線を 合成速度vとしてやればOKです。
合成速度の求め方

速度の分解

速度の合成とは逆の手順で、ある速度 v を対角線とする平行四辺形を書けば、速度を2つに分解することができます。
分解する向きはどのようにしてもOKです。
一般には、垂直方向にそれぞれx成分y成分と分けることが多いです。
速度をx成分とy成分に分解する

相対速度

基準となる物体Aから見た時の、別の物体Bの速度を Aに対するBの相対速度といいます。
相対速度を求めるには、Bの速度から基準となるAの速度を引けばOKです。
相対速度の求め方

ここからは完全に余談ですが、 中の人は乗り物が好きなので、飛行機と相対速度について話したいと思います。
飛行機の速度には、大きく分けて2通りの表し方があります。

  1. 地面に対する相対速度である、対地速度 (GS)
  2. 空気に対する相対速度である、対気速度 (今回はTASで考えます)

対地速度は、車や電車など陸上を走行する乗り物の速度計に表示される速度と同じだと考えて大丈夫です。
ということで、対地速度は下の式のように求めることとします。
対地速度を求める式
そして、今回は対速度(TAS)を500kt(926km/h)で固定します。

無風の時
対地速度(GS)と対気速度(TAS)の差はありません。両方500kt(926km/h)です。
無風の時の対地速度

向かい風 50kt(25.72m/s) の時
対地速度 = 対気速度 + (-50kt) = 450kt(833.4km/h) になります。
向かい風の時の対地速度

追い風 50kt の時
対地速度 = 対気速度 + (+50kt) = 550kt(1018.6km/h) になります。
追い風の時の対地速度

とまあ、最後は思いっきし余談でしたが、速度についてはこんなところです。