酸・塩基の価数と強弱

目次

  1. 酸の価数
  2. 塩基の価数
  3. 酸・塩基の強弱

酸の価数

酸の1分子が放出しうる水素イオンの数を酸の価数といいます。
以下にそれぞれの酸の価数を示します。

価数
1 HCl, CH3COOH
2 H2SO4, H2C2O4
3 H3PO4

酢酸(CH3COOH)は、分子中に H が4つあります。
しかし、メチル基(-CH3)の H は何があっても H+ にはなりません。
H+として電離するのはカルボキシ基(-COOH)の H ただ一つです。
よって酢酸は1価の酸となります。

塩基の価数

塩基の組成式から放出される水酸化物イオンの数、または塩基1分子が受け取ることのできる水素イオンの数を塩基の価数といいます。
以下にそれぞれの塩基の価数を示します。

価数 塩基
1 NaOH, NH3
2 Ca(OH)2, Cu(OH)2
3 Fe(OH)3

アンモニアは化学式中に OH を含みませんが、水と以下のように反応して OH- を生じます。
NH3 + H2O ⇄ NH4+ + OH-

酸・塩基の強弱

塩酸(HCl)と酢酸(CH3COOH)は共に1価の酸です。
今から、塩化水素と酢酸の 0.1mol/L 水溶液を 0.1L 用意し、適当な金属片(鉄とか亜鉛とか)でも入れて反応の激しさを比べます。 すると、塩酸の方が激しく水素の泡を出すはずです。

この時、塩酸と 酢酸の水溶液のモル濃度は等しく、体積も同じなので、溶液中にはそれぞれ同じ数の分子が溶けています。
にもかかわらず、酸の強弱には大きな差があります。

実は、酢酸は水に溶けても一部の分子しか電離しません。
それに対して、塩酸は水に溶けるとほぼ100%電離します。
ですから、モル濃度が同じでも、溶液中の水素イオンの濃度には大きな差があります。だから酸の強弱に差が生じるわけです。

電離度

溶解した電解質の物質量に対する電離した電解質の物質量の割合を電離度といいます。塩酸の電離度はほぼ1です。 酢酸は0.016です。

電離度が1に近い酸を強酸、1より著しく小さい酸を弱酸といいます。
塩基についても同様に、電離度が1に近い塩基を強塩基、1よりかなり小さい塩基を弱塩基といいます。

電離度
強 酸 HCl 0.94
H2SO4 0.62
弱 酸 CH3COOH 0.016
H2CO3 0.0017
電離度
強塩基 NaOH   0.91
KOH 0.91
弱塩基 NH3 0.013 

今回はここまでです。ありがとうございました。

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